速水流のお道具
速水流のゆかりの道具
帛(ふくさ)と畳紙(たとうし)
速水流の道具において最も特徴のあるものとして、「帛(ふくさ)」「畳紙(たとうし)」「小掛台(こかけだい)」があげられます。
帛は十二単の「襲(かさね)の色目」を合わせて鱗形(りんぎょう)の二色でできています。これは帛を色によって清潔に使い分けられるように考案されています。流祖がはじめ好まれたものは、紫と古代青の「松重(まつがさね)」です。
畳紙とは、奉書紙を畳んだもので、貴人点前や濃茶点前など帛を懐中するときは必ずこれに挟み、出し帛に体温が移らないように気遣われています。
小掛台(こかけだい)
小掛台とは、殿上貴族の方々にお茶を差し上げるものとして、古くからの高貴の調度である「浅香の懸盤(せんこうのかけばん)」より考案された大小一双になった貴人台(きにんだい)です。
吉妃棗(きっぴなつめ)と溜塗枝菊蒔絵曲水指(ためぬりえだぎくまきえまげみずさし)
その他速水流を代表するものに、流祖好みの「吉妃棗(きっぴなつめ)」と「溜塗枝菊蒔絵曲水指(ためぬりえだぎくまきえまげみずさし)」があります。吉妃棗は黒塗に遠山の蒔絵のものと朱刷毛目塗(しゅはけめぬり)に烏(からす)の絵が描かれた棗(なつめ)が一双になったものです。
吉妃という語は、春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)「桓公(かんこう)」の「嘉偶妃(かぐうのひ)」の部分から名付けられています。「溜塗枝菊蒔絵曲水指」は流祖が中宮御所に献茶されたときのお道具の一つです。